迎えたUCI Elite Menは、64名の選手が出走。日本を代表するシクロクロス選手が集ったばかりではなく、野辺山の常連モリー・キャメロン(MetaFilter-Portland Bicycle Studio)や、前日のシングルスピード選手権で圧倒的な走りを見せたブレナン・ウォットリ(ALL ACCESS RACING)ら海外勢の存在も国際レースであるUCIカテゴリーに相応しいレベルを象徴する。
号砲とともにトップに立ちホールショットを奪取したのは小坂光(宇都宮ブリッツェン)。信州シクロクロス第3戦、ナイターレースとなった飯山大会でも勝利を上げている光が気合い充分の立ち上がり。
だが1周目を終了時に単独で先頭に躍り出たのはディフェンディングチャンピオンの竹之内悠(チームユーラシア)。来季はベルギーのコンチネンタルチームに移籍が決まっている全日本チャンピオンはしかし、いつもの独走に持ち込めない。信州クロスシリーズの2人の雄、小坂正則(スワコレーシング)と丸山厚(MASSA-FOCUS-SUPER B)が竹之内を捉えると、しばらくは3人先頭の展開に。少し置いて光、5位には今年からエリートで走る沢田時(ブリヂストンアンカー)が続く。
先頭3人のパックは小坂正則と丸山が積極的に引っ張る。このペースに竹之内が遅れる場面もあり、コース脇の観客は誰が勝つかわからないスペクタクルレースにカウベルを振り鳴らして音色と声援を送る。80%ルールにより周回を重ねるごとに選手が少なくなっていくサーキットは、曇り空と相まって気温は3℃ほどまで低下。これまでのレースで深くなったコースの泥と、肌を突き刺すような寒さ、まさにシクロクロスレースと言わんばかりの環境にレースは残り周回を減らしていく。
レースが動いたのは残り3周から。勝負所と決めていた泥区間でのアタックで小坂正則との差を広げると、そのまま独走に持ち込む。タフな粘り強さは誰もが知るところの小坂正則の追撃から逃げ切った竹之内が、見事大会2連覇を達成した。小坂正則とのタイム差は32秒。この2人の勝負に割って入ることはかなわなかったが、終始安定した走りを見せた丸山が3位でゴール。序盤からレースをリードした3名がポディウムを占める結果となった。
翌週の関西シクロクロスレース、滋賀県琵琶湖のマイアミビーチでのレースもUCIカテゴリー。野辺山に出場したトップ選手の多くがここを走り、そして12月の全日本選手権に臨むことになる。続くハイレベルなレースに期待したい。
UCI Elite Men(8周回 )
1位 竹之内悠(チームユーラシア) 1:02:54
2位 小坂正則(スワコレーシング) +32
3位 丸山厚(MASSA-FOCUS-SUPER B) +1:09
4位 小坂光(宇都宮ブリッツェン) +2:00
5位 沢田時(ブリヂストンアンカー) +2:39
6位 ブレナン・ウォットリ(ALL ACCESS RACING) +3:04
7位 中井路雅(岩井商会レーシング) +3:46
8位 モリー・キャメロン(MetaFilter-Portland Bicycle Studio) +3:51
9位 山本和弘(キャノンデールレーシング) +3:58
10位 前田公平(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM) +4:10
photo:辻啓/野辺山シクロクロス