冷たい泥水を巻き上げながら走るタフなコンディションの中でも全日本チャンピオンが強さを誇示。坂口聖香(パナソニックレディース)が勝利したUCIエリート女子レースを振り返ります。
23名がスタートを切ったUCIエリート女子。1周目のフライオーバー(立体交差)を越えた時点で先頭に立ち、後続に10秒程度のタイム差をつけたのは全日本チャンピオンの坂口でした。「テクニカルなコースで、試走の段階で自分向きだと感じていました。1周目に先頭に出た瞬間に『今日は前に出た方がいい』と判断した」という坂口がそのまま泥コースを踏んでいきます。
坂口を追走したのは、前週のマキノで表彰台に上った與那嶺恵理(TEAM・eriy.jp)と宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team)ではなく、テクニックに定評のある今井美穂(CycleClub.jp)。フライオーバーの階段を1段飛ばしで駆け上がった今井が40秒差をキープしたまま追走を続けました。
「空気が冷たくてコースも高低差があって、3周目まで呼吸が苦しかった。今井選手がずっと後ろにいるのも分かっていたので、前半は我慢するしかありませんでした」と、先頭でペースを崩すことなく走り続けた坂口。ほぼ全面泥に覆われたコースを、毎周回ピットエリアでバイク交換しながら走ります。後半にかけてもう一段ペースを上げ、最終的に今井を1分09秒引き離す走りで勝利しました。
2位に入った今井は「毎年楽しくて、悪コンディションでも楽しく走れるコースが設定された野辺山は自分にとって特別なお祭り。シクロクロスを初めてから初の表彰台がこの野辺山で、そこから(キャリアが)始まったんです」と、野辺山とのつながりを語ります。2年連続の表彰台に上り、特製カウベルを手にしました。
「(坂口)聖香ちゃんは速かった!全然背中が見えず、きっぱりと目標を切り替えました」と語る與那嶺が宮内や武田和佳(Liv)との3位争いを制して表彰台。「乗るテクニックを磨きながら40分間身体に負荷をかけるオフシーズンのトレーニングとして、怪我をしないように走っていましたが、(宮内と武田との)3人パック走行は楽しかった!」と顔を緩めました。
UCIエリート女子リザルト
1位 坂口聖香(パナソニックレディース) 41’50”
2位 今井美穂(CycleClub.jp) +1’09”
3位 與那嶺恵理(TEAM・eriy.jp) +1’54”
4位 武田和佳(Liv) +2’02”
5位 宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team) +3’02”
6位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリング) +4’00”
7位 林口幸恵(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +5’16”
8位 上田順子(ダム部) +5’55”
9位 フィオナ・モーリス(MAAP) +6’02”
10位 西山みゆき(東洋フレーム) +6’38”