「良かった。本当に良かったです」と話したのは先頭でフィニッシュラインを切った竹之内悠(ベランクラシック・エコイ)。肉離れによってヨーロッパ遠征を切り上げて帰国した全日本チャンピオンが、Raphaスーパークロス野辺山の舞台で煌めく走りを披露しました。
すっかり雪化粧した八ヶ岳に太陽が向かい始めた土曜日の午後2時45分、大会初日の最後を飾るUCIエリート男子レースがスタート。73名の中から飛び出したザック・マクドナルド(ストリームラインインシュランスサービス)が主導権を握って序盤の周回を重ねましたが、「標高の影響で急に気分が悪くなった」ために失速。ペースを落として数周回をこなしたマクドナルドでしたが、その後のパンクによって完全に戦線から離脱してしまいます。
マクドナルドに代わってレースをリードしたのは竹之内でした。「小坂光選手と一緒に走っていたんですが、その後ろの選手たちが近づいていたので、力の差を見せつけたくてアタックした」という竹之内が一気にペースを上げて先頭へ。小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)が食らいつきますが、両者の距離は周回を重ねるごとに開いていきます。
「キャリアの中で最悪のスタートだった」というベン・ベルデン(WCupスタンパー)が、「レース序盤はまだシクロクロスバイクに乗れていなかった」という山本幸平(トレックファクトリーレーシング)とともに追撃。やがてベルデンと山本は最終周回を前に小坂にジョインしますが、先頭の竹之内とのタイム差は20秒。全日本チャンピオンがそのまま観客とハイタッチしながら独走でフィニッシュしました。
帰国後はローラー台でのトレーニングしかこなせず、前日の試走で久々に野外のライドを行ったという竹之内が優勝。試走でも痛みが再発し、朝の時点でもスタートするのか迷っていたものの、「スタッフとの連携も含めて、全日本選手権のリハーサルのためにも走っておきたかった」という竹之内が、痛みを感じることなく1時間を超えるレースを走りきりました。
「怪我を契機に、ペダリングを一から見直しました。クランクの長さも変更し、どうすれば自転車に乗れるのかという地点から再スタート。その変更が良い形であることを確認できたので、ここから身体を作っていけば明日のUCIレースや全日本選手権、世界選手権でも良い走りが出来ると思う」と、竹之内は不安を抱えていたフィジカルに自信を得た様子です。
最終周回にかけて熾烈さを増したのは2位争い。小坂光の脱落とともにベルデンと山本の一騎打ちに。山本が持ち前のパワーで先行しますが、テクニックで勝るベルデンがスプリントで差し込んで先着しました。
UCI 男子エリートリザルト
1位 竹之内悠(ベランクラシック・エコイ) 1h05’00”
2位 ベン・ベルデン(WCupスタンパー) +21”
3位 山本幸平(トレックファクトリーレーシング)
4位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス) +25”
5位 沢田時(ブリヂストンアンカー) +1’34”